リチャード・ゴットという人の「ヒューゴ・シャベス」という本を見ていたら、憲法制定の話が出てきました。その中で興味をひかれたのは、米[コメ]をベネズエラのナショナル・シリアル(穀物)として規定しようとしたということです。
実際、憲法上の条文として実現したのかどうかは知りませんが、勿論これは国民の食の好みを統制しようとしたわけではありません。輸入食糧に対して自給率を高めるという意味合いもあったでしょうが、それとともに米はベネズエラの風土に根ざした穀物であり米を国民食とすることによってベネズエラの風土を守ろうという意味が強かったものと思われます。 こうしてみると日本の現状とも無関係ではいられません。稲作儀礼の祭司という側面も持っている天皇を象徴として仰ぎながら、日本の農村風景は次々とファースト風土化されつつあり、そのあげく日本の伝統的景観が損なわれているだけでなく都市郊外型の犯罪の温床になりつつある、というように日本人のモラル上の問題にもなってきつつあります。 このような中で天皇よりも米を日本の象徴(ナショナルシリアル)とする方がよほど日本の風土と伝統に根ざした条項になるようにも見えます。 勿論、憲法で人びとの食生活まで規定する必要があるのかという批判があるのは承知です。しかし憲法論議を人びとの生活に根ざしたものとする為には、憲法論としてこんなことまで論じてもいいんだという事例は貴重だと思います。 (白崎さんのコメント) チャベスの演説では、食糧の自給についての発言が多々みられますが、憲法的には、「環境権」について、国家の義務を厳しく定めているようです。たとえば、多様な生態系や種の保存、国立公園などの保護ですね。これらのことは、もちろん、改憲論議でも大いに学ぶべきでしょう。 by shiryouko | 2005-12-14 09:50 | 日本の国柄
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