東西冷戦はとっくに終ったのになぜ未だに日米安保が必要なのか、私には理解できません。また安保が必要な理由を客観的な資料に基づいて明快に論理的に論じた議論も見たことがありません。
横須賀市では原子力空母の寄港に市をあげて反対で、35万人の市民が反対の署名をしました。しかし地元の民主党や社民党の議員はアメリカで政府や議会の関係者に会って「原子力空母だから反対。通常型なら歓迎」と言っている。なぜ通常型なら外国の空母を歓迎するのか。訳が分かりません。 在日米軍は極東の安定、安全に寄与しているというセリフを耳にします。その場合は、北朝鮮と中国が危険な国とされているのでしょう。そこで両国の危険さ、およびこれもよくきくシーレーン防衛なるものについて考えてみます。 北朝鮮: 1)たとえ北が核ミサイルを数発所有していたとしても福井県程度の国力で戦闘機や戦車の燃料もロクにない北に日韓両国を軍事的に敗北させる能力はあるでしょうか。また攻撃にどんな利益があるのでしょうか。 2)もし北が侵略的な国だとしたら朝鮮戦争の再発で国土がまっ先に戦場になる筈の韓国がむしろ北との和解を進めているのはなぜでしょうか。 3)在日米軍がいるから北から守られているのでしょうか。かりに北の脅威を仮定しても韓国軍は戦力で北を圧倒しており、時々起きる衝突でも北はいつも負けています。 中国: 1)戦後の中国を軍事の面から振り返ってみます。まず朝鮮戦争への中国軍の介入は、前年に成立したばかりの自国の政権を防衛するためのものだったことは明らかです。 2)その後、インドやロシアと国境をめぐる軍事衝突がありました。これは喧嘩両成敗みたいなもので、現在は両国と和解しています。 3)1979年の二月のベトナムを一方的に攻撃しました。その直前の一月に米中和解が成立しています。旧ソ連は同盟国が自主的な動きを見せると制限主権論でハンガリーやチェコに軍事介入してきました。トウ小平は米中和解でソ連軍が侵攻してくる恐れがあるとみて、ソ連の意志を試すリトマステストとして親ソ的なベトナムを攻撃した訳です。とんでもないことではある。しかし中越戦争は侵略戦争とは言えません。 4)現在の中国は信望のあるソフトパワーとしての影響力の拡大を図っており、東南アジア諸国と領有権で揉めている南沙諸島でも低姿勢です。 5)増大するエネルギー需要が中国に軍事大国路線をとらせるという見方がある。しかし大戦前のブロック経済の時代では日独は軍事力による原油確保に走ったけれども、今のグローバル化の時代には市場でいくらでも原油を買える。しかも中国は外貨準備ではトップクラスの国です。 6)中国は膨張主義どころか、国家の統一が危うい国です。独立したら戦争を辞さないと台湾を脅すのは、もし台湾が正式に独立したら、中国各地で分離独立運動が一斉に発生しかねないからです。本土に投資してくれる台湾は金の卵で、攻撃の脅しは本音とは思えません。 シーレーン: 1)まず中立国になってしまえば戦時中でも公海でその船舶が攻撃される恐れはなくなるので、シーレーンなど考える必要はなくなる。まあ臨検などはあるでしょが。 2)大戦後にはイラン=イラク戦争の余波でホルムズ海峡の航行が危険になるといったことはありましたが、どこかの好戦的な国が国際的シーレーンを脅かしたといった例はありません。 3)もし台湾海峡が有事になり日本がアメリカと共に軍事介入したら、日本の船舶が中国の潜水艦の標的になることもありうる。でもこれはアメリカの手下になった日本の自業自得です。 4)シーレーンの脅威として実際にありうるのは、マラッカ海峡などでのイスラム過激派のモーターボートによる特攻攻撃です。これはゲリラなので海軍力では解決できません。 5)むしろ本当の脅威は、日本が安い外国の船と船員に頼って自国の商船隊がゼロに近いいびつな海洋国であることです。もしイスラム過激派が日本向けの船舶を無差別攻撃すると宣言したら、日本に物資を運んでくれる外国船は見つからず、この国は原油も食糧もなくなって国家的崩壊状態に陥るでしょう。 by shiryouko | 2005-12-11 07:39 | 安全保障
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