「憲法改正意見」 公法研究会1949年4月 (丸山真男、辻清明、佐藤功、鵜飼信成など)
第一章 天皇

 第一章に天皇の章を設けているのは、人民主権を表明する憲法としては妥当ではなく、別に人民主権を宣言する章を設けるか、或いは人民主権の宣言を含む基本的人権の規定を第一章とすべきである。また、民主主義の憲政というポツダム宣言の主旨に従えば、天皇制の廃止による共和制とすべきことが理想であり、従って天皇の章は理想案においては不要である。かような場合には、大統領制とすべきことはいうまでもないが、その場合の大統領制は米国のような政治的実権をもつものではなく、仏蘭西流の儀礼的な存在とするべきである。しかし、このような理想案はいま一応将来のこととして、実現可能な改正案ということになれば、天皇制を承認した上で人民主権を明確にすべきである。この観点から、天皇の儀礼的な存在たることを明示すべきである。

〔第一条〕 「主権は日本人民にある」という条文を新たに加える。
〔理由〕 現行の第一条のように天皇の法的性質を表現することに付随して、国民主権を宣言しているのは妥当ではない。別個の一条を設け、これを冠頭に掲ぐべきである。

〔第二条〕 現行憲法第一条を、「天皇は日本人民の儀章たるべきものである」と改める。

以下 略。

*「共和制」と言いながら、天皇儀章論におちつくあたりが、東大の先生らしいオチだが、こういう議論もあったということでご紹介させていただく。[白崎・記]*
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by shiryouko | 2005-08-28 09:30 | 主権



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